からだの成長・発育にかかわる「甲状腺」 その2

前号に引き続き、甲状腺の病気についてお話しします。

甲状腺の炎症

慢性甲状腺炎の原因は、甲状腺に対する自己抗体です。甲状腺ホルモンが低下するので、前回お話しした甲状腺機能低下症と治療法は同じです。

そのほか、亜急性甲状腺炎では、風邪のような上気道感染と発熱などの前兆に続いて、くびの痛みや軽度の甲状腺の腫大がみられます。風邪やのどの痛みと間違われることもあり、中年の女性に多い病気です。症状が激しい場合は副腎皮質ホルモン投与が有効ですが、これが使用できない場合、時間はかかりますが消炎剤の使用で良くなります。

甲状腺の腫瘍

中年女性の場合、くびをていねいに触診すると100人中5人、超音波検査では100人中10人くらいに何らかの腫瘍性病変が見つかります。一般的に中年女性の250人中1人は甲状腺にガンを持っていると言われますが、その半分以上は10mm以下の小さなもので、すぐに生命に関わるものではありません。また、小さな甲状腺ガンは、1年後に検査しても大きさに変化がないことがほとんどです。

甲状腺ガンの95%を占める分化ガン(乳頭ガン、濾胞ガン)は、比較的予後がよく、早期に手術を受けるとほとんど治ります。

診断は、くびを触って(触診)、しこりがあれば超音波検査を行い(痛くありません)、注射で細胞を取ります(吸引細胞診・少し痛みがあります)。

甲状腺ガンの治療は手術で、術後放射性ヨード大量経口投与が有効です。その他抗ガン剤投与は、ほとんど効果がありません。

加美病院では、甲状腺エコー、甲状腺機能検査、甲状腺吸引細胞診ができます。くびが腫れている、疲れやすいなどの症状がある方は、外科外来で受診してみてください。