甲状腺の腫瘍性病変と水虫について

院長 土井 秀之


今回は、甲状腺のしこりと水虫についてお話しします。

甲状腺のしこりとガン

甲状腺のしこりを結節とよびます。結節がくびの喉仏(のどぼとけ)の下に触れ、物を飲み込むと同時に上に移動すると、甲状腺の結節と判断できます。良性か悪性かの判断は触診、超音波検査、吸引細胞診検査でほぼ可能です。

甲状腺ガンの半分以上は最大径10mm以下の小さなもので、急に大きくなったり、すぐに生命にかかわるということはありませんが、放っておくことはよくありません。

甲状腺ガンは、小さいとほとんど症状がなく、医療機関を訪れる人はそれほど多くありません。甲状腺ガンは女性に多く、男性の5倍です。ガンの発病年齢は30歳代が60歳代より多く、10歳代でも発病します。ただし、高齢者より若年者の方が悪性度は低く、経過の良好なものが多いです。

ガンの治療の基本は手術です。良性腫瘍の場合、良性と診断されても確実とはいえないこともあるので、1年に1度は必ず診察を受けてもらっています。良性でも、大きい場合やガンの疑いがある場合は手術をすることもあります。

水虫

次に、水虫(白癬)ですが、病院で診療しているとかなりの人が感染しています。特に、高齢者の爪(つめ)水虫が多くみられます。爪水虫も白癬菌という菌が爪に侵入して起こる爪の病気です。症状はいろいろですが、爪が白く濁ったり、変形し厚くなって爪切りもできなかったりします。

白癬菌の感染力は弱いですが、水虫の感染患者が落とした皮膚の垢などが他の人の皮膚に付着することで感染しますので、複数の人が使うバスルームの足ふきマットやスリッパなど、湿った暖かいものは要注意です。

最近では、白癬菌に対して優れた抗菌作用を持つ薬が開発され、水虫治療に効果を上げています。薬には塗り薬や飲み薬があり、根気よく治療を続けると完治へつながります。あやしいなと思ったら、受診してみてください。