胃の内視鏡の話

内科 斉藤 仁善


皆さん、胃の内視鏡というと、どの様なイメージを持っていますか?

意外と平気な方もいますが、大変だとか昔ひどくつらかったのでもういやだという方も多くいらっしゃると思います。

実は、私自身も最初は大変つらく苦手でした。内視鏡が入ってきて喉の奥にくると力が入ってしまい何度も気分が悪くなったものでした。そこで、自分でもいろいろと工夫してみました。意識してため息をつくようにゆっくり呼吸をするのと、ある意味で開き直って「もう、好きにしろ」と思うようにしてから徐々に平気になってきました。

それに、昔の内視鏡に比べると細く柔らかくなってきていますので、体に対する抵抗も減ってきています。

どうしても不快感が駄目だという場合は、注射で眠っている間に行うこともできます。(ただし、その日は車の運転はやめていただくことになりますが)。また、この他に、鼻から入れる内視鏡というのもあります。メーカーから借りて実際に当院の医師や看護師も受けていますが、喉の不快感がなく好評でした。ただし、今までの内視鏡と比べると画像が少し粗く病変が見えずらい感じがしましたが、今後は進歩してより見やすくなるとのことでした。この他にも光の波長を変えて病変そのものをはっきりさせる機能のついた内視鏡もできています。

最近のデータを見ると、日本では胃ガンのうち約60%が早期胃ガンで見つかっています。つまり治癒することが多くなってきたということです。学会のデータでも、胃の内視鏡を毎年受けている方は胃ガンが見つかった場合でも胃を切らずに内視鏡で治療できる人の割合が多くなっています。私自身、この1年間だけで3人の方の早期胃ガン、1人の方の早期食道ガンを見つけることができました。

病気が治癒することが一番の願いですので、一人でも多くの方が色々な機会を利用していただければと思います。